JSA-板門店体験レポ-05/いよいよ38度線へ
ビジターセンターを出た後、
ソウル市内から乗ってきたバスとは違うバスに乗り換えることになります。
出発前に最終のパスポートチェック。ここからは韓国軍の兵士さんがバスの運転をしてくれます。
さらに、この先は許可が出るまで写真撮影・メモ・スケッチなど、全て禁止という指示が。
また、カバンの持ち込みも禁止なので、持ち物(スマホ・カメラはOK)は全てポケットに入れなくてはなりません。
ちなみに、参加客の中にはポケットの無い服を着ている人も居て、同行者のポケットにスマホなど入れて貰っていました。
道の両側は地雷畑
さて、出発のまえに。
JSAツアーが真冬に開催されない理由をご存知ですか?
私はてっきり寒いからだと思っていたんですが、違う理由があると聞いて驚きました。 実は、JSAの敷地内には無数の地雷が埋められているそうなんです。冬に雪が降り、舗装された道路の幅が曖昧になってしまうと非常に危険ですよね。そのため、冬にツアーの開催は無いということらしいでのす。
バスに乗って会議場までの道を進むと、心細くなるほど道幅は狭くて「この道の両側は地雷畑か…」と経験したことのない緊張感を味わうことになりました。
そこでガイドさんからの補足が入ります。「世界で一番地雷が多く埋められている場所はアフガニスタンですが、世界で一番地雷が埋められた密度が高い場所はここ、JSAです」と。
更に「地雷を埋める為にかかる費用をご存知ですか?埋めるときには500円ほどの費用で埋めることができるんです。ただ、撤去する際にはその何倍もの時間と費用がかかります。アフガニスタンでは全ての地雷を撤去するために1000年かかると言われています」というような話だったと思います。
心の準備もままならぬまま
やっと建物(自由の家)が見えてきました。建物の前にバスが停まり、その中を通って会議場(ニュースでよく見る水色の建物)へと移動をします。
自由の家の内部には、先日の首脳会談時の写真がパネルで展示されている以外は、大きなシャンデリアがあったりとホテルのロビーのような内装。古い建物の匂いがしました。本当に会議場への通り道という感じだったので、あまり内装まで細かくみることはできませんでしたし、先述の通り撮影禁止だったので写真などはありません。
そして、心の準備もままならぬまま、突然水色が目に飛び込んできます。
「あー」
「水色だね」
私たちツアー客は”韓国側の客人”という体裁で胸に国連のバッチをつけて会議場に入場します。 その際、北朝鮮側の兵士は会議場周辺には出て来ないそうです。
ですので、映画『JSA』で観光客の帽子が風で飛ばされて北朝鮮側に入ってしまい北朝鮮の兵士(ソン・ガンホ)に拾って貰うというシーンがありましたが、実際には映画のように間近に北朝鮮の兵士を見ることはできないようでした。
会議場内は狭いので、ツアー客が半分ずつ入ることになります。 待機している間、会議場の写真撮影可能という指示が出たので、各自スマホやら一眼やらで撮影をします。
ただ、望遠レンズ付きの一眼の場合、チェックを受けることがあるようなので事前に持ち込み可能なレンズをチェックしておいたほうが良いかもしれません。
いよいよ38度線の真上へ
会議場へと入る順番が回ってきました。
整列してゆっくり歩きながら入っていきます。建物内には会議用のデスクと椅子、空気清浄気が配置されていました。空気清浄気は北と南に2台設置されていたのですが、なぜか北側だけ茶色く変色していたので写真を撮ってしまいました。
⬆︎JSA内の空気清浄機はSAMSUNG製。茶色い!と思って撮ったのに、写真で見るとそうでもないですね
⬆︎会議場の椅子はこんな感じ。ムラ加工
デスクの上には国連の旗が配置されています。建物の出入り口の前と会議場の中央には韓国軍の兵士が居ました。撮影OKとのことでみんな一緒に記念撮影をしていましたが、場の空気に圧倒されて遠くから一枚。
韓国軍の兵士で、会議場の周りの警護をしている方は全員濃い色のサングラスをしていますが、これは無用な争いを避ける為だといいます。さらに腕に付けている腕章。これは国連との取り決めで、武装・非武装の目印になっているとか。取り決め当初は韓国軍・北朝鮮軍・アメリカ軍と全ての軍が腕章を付けていたそうですが、あるときから北朝鮮軍が腕章を付けるのをやめてしまったという話です。(いいのか)
そして、窓から外を見てみると38度線の目印が見えます。右側の砂利が敷いてある方が韓国、左側の砂利が無い方が北朝鮮ということになります。つまり、わたしはいま北朝鮮からこの写真を撮影しているということなんです。
ここでは、「軍事境界線上はあくまで”軍事境界線”であって”国境”ではないんですよ」という説明が印象的でした。38度線上では、壁や柵があったりする訳ではなくこちらと同様の目印が点線のように配置されているとか。
⬆︎38度線の目印
会議場から出て「あー、あとは帰るだけか」なんて思っていたところ、印象的な出来事がありました。
隣にいた年配の男性がくるっと振り返って会議場に向かって一礼をしていました。「どうしたのかな?」と思い私も振り返ったところ、男性が「すみませんでした。ありがとうございました」って呟いていたのを聞いてしまって、頭が真っ白になってしまいました。
>>>JSAレポ-06/帰り道ににつづく
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